月影庵の四季(三)

京都・室町通の一角に、創業百年を誇る和菓子屋・月影庵がある。毎年秋になると、この場所は温かな物語の舞台となり、甘さと思い出を求めて多くの人々が集まります。 『月影庵の四季 秋もみじ』では、この老舗で起こった感動の物語を厳選し、和菓子に込められた深い思いを感じていただけます。

物語の主人公の男女はお互いに好意を持ちながらも、自分の気持ちを言葉にせず、最後に月影庵の和菓子を頼って初めてお互いの気持ちを理解し、結婚の証人となるのです。

また、東京の上皇が皇室の品である菊と菓子を欲しいとのことで、宮内庁を通じて月影庵に依頼をし、ようやく月影庵の作品が東京に送られたという逸話もあります。このような配慮と技術は上皇を感心させただけでなく、月影庵の名声を広く広めることになりました。

月影庵が単なる和菓子の店ではなく、温かさと思い出が詰まった場所であることを、人情味あふれる秋の絵の中に織り込んでいます。ここでは、それぞれの和菓子に独自の物語と感情が込められており、それを味わう人と共有されるのを待っています。月影庵に入り、秋の美しさと暖かさを一緒に感じましょう。

水月

日本文化と京都を愛するライター